研究課題
本研究の目的は、理論モデルに基づいて構造データ(単位胞、対称性、内包原子の種類、固溶体の成分比など)を変えたホスト=ゲスト型ナノ材料の構造候補を大量に自動生成し、数値計算加速ボードや次世代スーパーコンピュータの膨大な計算能力を活用して各候補の構造安定性および各種物性を第一原理計算によって予測することである。第一段階では各候補の構造安定性を調べ、構造不安定なものを候補からはずす。この段階で大部分の候補が除外される。第二段階では生き残った候補に対して計算時間のかかる各種物性値を計算する。その結果、構造データと発現する物性値との間の関係が理解され、我々は機能性ナノ材料の俯瞰図を手にすることができる。そして実際に実験を行う物質を絞り込んだ効率的な物質開発を可能にする。本年度は、結晶構造探索アルゴリズムを水素含有分子Stannane(SnH4)に適用し、高圧下における新結晶構造とその高温の超伝導転移温度を予測した。また、第一原理分子動力学法により水素含有分子Silane(SiH4)をホスト分子とし水素分子をゲスト分子とするホスト=ゲスト型新結晶SiH4(H2)2、および水分子(H2O)をホスト分子とし水素分子(H2)をゲスト分子とするホスト=ゲスト型結晶(水素ハイドレート、H2O(H2))の結晶構造とラマンスペクトルを予測した。また、平面波基底第一原理電子状態計算およびTight Binding量子分子動力学のGPU(Graphic Processing Unit)を利用して加速する方法を開発した。さらにO(N)計算法のアルゴリズムの改良を引き続き進めた。我々が従来から研究を進めているチェビシェフ展開法に基づくフェルミ演算子を演算する方法(CPE-TDM法)に、全ての電荷密度の履歴を利用するBroyden法を導入して、自己無撞着計算の収束の加速を試みた。
すべて 2010 2009 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (19件) 備考 (2件)
Proceedings of the National Academy of Sciences 107
ページ: 1317
J.Phys.: Condens.Matter 22
ページ: 095503
http://www.iitaka.org/
http://www.iitaka.org/gpgpu.html