研究概要 |
本課題の目的は,マイクロチャンバーアレイを利用して,生体の膜輸送タンパク質の輸送効率を,タンパク質一分子レベルで評価する実験系を構築することである.具体的な例として,薬剤排出ABCトランスポーターの基質輸送効率の計測を目標とする.人工脂質二重膜に輸送膜タンパク質を再構成し,それらにより輸送された分子(基質分子,あらかじめ蛍光ラベルを付加しておく)を微小空間(マイクロチャンバー)中に蓄積させることができれば,蛍光検出により検出することが可能となる.微小空間中に蓄積するため,輸送量が微量でも濃度が急上昇し,超高感度での検出が期待できる. 平成19年度は、このような膜タンパク質を再構成するための人口脂質二重膜を高効率でアレイ状に形成するための基盤技術に関する研究を行った。高分子(ボリパラキシリレン)のシートフィルムに直径数十マイクロメートルの微細穴を加工し、そこに脂質二重膜を形成したところ、非常に効率が良く、5×5や10×10のアレイ状に形成可能であった。また、膜タンパク質(イオンチャネル)を再構成し、機能を計測可能であることも確認した。本成果は、学術雑誌(Analytical Chemistry, IF=5.6)に掲載された。
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