研究概要 |
多くの場合、DEAが対象とするのは単体の企業体の比較である。しかしながら現実問題として企業は多くの部門から成り立っていて、一つの部門の出力(産出)は別の部門の入力(投入)となっている。この一連の動きはネットワーク構造とみることができる。各部門ごとの効率性も重要であるが、全部門を通しての効率性がより重要である。従来のDEAは単一部門のパフォーマンスを取り扱うことができるが、このようなネットワーク構造をした企業体の総合的なパフォーマンスを計測することはできない。本年度の研究においてはネットワーク型DEAの理論を構築するとともにその応用を幅広く探索することを目的とした。さらに長期的な視点から効率性を分析するためにDynamic DEAの理論をSBMの枠内で構築した。金融関連では銀行の仲介機能を2段階ネットワークモデルによって計測する方法を提案した。また銀行の合併効果を予測するM&Aモデルを提案した。医療関係ではネットワーク型DEAとブラックボックス型DEAの相違について引き続き研究した。ガス事業についてはネットワーク構造による効率性の計測を行った。それらの成果の一部をEJOR, Omega, IJISSC論文として発表した。また台湾のFo Guang大学と連携してDEA Symposium 2010を開催し、海外協力者を含む次の成果を発表した。Fare : Developments in Dynamic DEA, Grosskopf : A Dynamic Malmquist Productivity Index, Weber : Estimating Two-Stage Network Technology Inefficiency : An Application to Cooperative Shinkin Banks in Japan.
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