研究概要 |
本研究では経済性・環境配慮両立型グリーン物流を対象に,(1)サービス向上と在庫削減を狙いとするサプライチェーンの観点,(2)CO2排出等の環境問題の観点という経済性と環境問題の双方の視点から研究を行い,企業の利益面で効果をもたらしながら環境負荷を低減させるための新たな物流パラダイムを提案するとともに,企業の詳細な実地調査にもとついてその評価を行うことを目的としている。 本年度の主な成果は次の通りである。第一に,実際の企業のフィールド分析(実地調査)に基づき,直面している課題について体系的整理を行った。具体的には,グリーン物流のための管理指標の整備,モーダルシフトの効果に関する検討,トラックの走行データとCO2排出量の分析,エコポイント方策の検討,並びに,顧客単価の向上施策分析を行った。第二に,最新のリアルタイム燃料消費量装置について,開発企業と共同で運搬時の燃料消費量の把握方法を検討し,同装置の改良を行った。これにより,次年度以降,積荷の状況と連動した形で,トラックの走行データが取得でき,様々な分析のための土台が構築されたと言える。第三に,実地調査に基づき,冷凍品と冷蔵品の2商品の実際の物流プロセスを取り上げ,作業フローを定義して商品1点あたりCO2排出量の把握と算定の方法を提案し,定量的な比較を行った。これにより,冷凍品と冷蔵品の物流における環境負荷の特徴の差異が明らかとなり,また従来明らかにされていた青果物との比較を行った。 成果の一部については国内外で研究発表を行うとともに,大学・企業間でネットワークを築いて産学で連携した研究会の運営を行った。以上の結果より,次年度以降,さらに研究を深めるための基礎的な知見が得られると共に,研究上の土台が築かれたと考えられる。
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