研究概要 |
I.市街地防火関連諸制度に関する分析 (a)現行の都市計画制度、市街地整備事業等の適用要件に関して、都市計画事業,任意事業について適用要件についてレビューを行った. (b)市街地火災安全性の変遷とその要因に関する分析 東京都を分析事例として、これまで火災安全性評価の代表的指標を用いて時代的変遷とその変化要因について分析を行った。その結果、特別区と多摩地区で個別にみると火災安全性の増減の構造は若干異なり、特別区では、高度利用の程度、防火地域等の指定の有無等の要因が地価の高低に関わらず火災安全性に変化が見られるのに対して、多摩地域では地価の高低が火災安全性の増加・減少に大きく寄与していることが明らかになった。また、特別区では、火災安全性の低下・停滞の具体的要因として敷地の細分化が大きな役割を果たしていること、多摩地区では、未利用地の宅地化が火災安全性の低下・停滞の主要な原因となっていることが判明した。 II.市街地の火災安全性の評価に関する分析 (a)市街地火災安全性の評価手法に関する既往研究についてレビューを行った. (b)市街地火災安全性評価のプロトタイプモデルの構築 東京消防庁の実施した市街地延焼拡大シミュレーション結果を入手し、町丁目単位での延焼危険領域の連担性と各領域での地震時出火可能性に基づいて、対象町丁目の火災安全性を評価するモデルの枠組みを構築した。 III.市街地防火性能評価手法の適用可能関する分析 東京都特別区を対象として選定し、市販の建物位置・形状・業種等が判別できるデータを導入するとともに、東京都の整備している都市計画地理情報システム(研究用として借用中)とともに活用することで、今後開発する市街地防火安全性評価モデルを適用するための市街地データベースを構築中である。
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