本研究では、必要な音声情報を必要な場所にだけ的確に伝える高明瞭度音響案内・誘導システムの実現を目指す。これらの問題を解決する一方策として、超音波を音声信号で変調して空間内に送波し、超音波の自己復調現象を利用して、音声を空間内に再生する超指向性音響システムを実現する。平成19年度では、まずはこの音響システム用デジタルパワーアンプの開発を進めた。試作したアンプではパラメトリックスピーカ用超音波エミッタとの整合性がまだ不十分であるために、周波数特性が平坦でなく、高音が顕著に再生され、聞いた感じに違和感がある。ただし、従来の市販のアナログパワーアンプに比べて、電力をおよそ20%に低減できた。現在は、デジタルアンプと、音質を重視し、本システムに特化した小型のアナログアンプとの両面からシステムの構築を行っている。なお、デジタル信号処理技術を用いたWeaver方式SSB変調器については、電気および音響両面からその詳細のデータが得らたので、研究成果として学術雑誌に投稿している。
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