研究概要 |
過去の大規模災害では,瓦礫の下に閉じ込められた生存者がクラッシュ症候群等の瓦礫下特有の病態に陥る例が多くみられたが,それら傷病者に対しては,その病態メカニズム上,救出以前の段階からのCSM(瓦礫の下の医療)実践が必要であり,それなくしての救命は難しいと言われる.今後実際に瓦礫下空間における医療的支援を含む救助活動(CSR/CSM)の実働体制を導入するためには,二次災害等の危険に対する万全の安全方策や活動の効率化が必要であり、十分な訓練実施体制の確立が求められる.本課題では,以上を鑑み今後に資するため,CSR/CSM活動に係る瓦礫下の空間特性の把握を試みる.今年度は,瓦礫下空間の1.空間的側面の検討として,(1)事例調査,文献・聞取調査等を行い,CSR/CSM活動過程を抽出・整理した.(2)CSR/CSM訓練施設を整備する際に利用できる基礎データを得るため,国内外の訓練施設の実測・図面収集を行った。また,施設の利活用や運用上の課題を抽出した.(3)CSR/CSM活動における活動空間寸法の意味・閾値に注目して訓練の観察及び聴取調査を行い,いくつかの指標寸法の候補を抽出・把握した.さらに次年度これを実験的に検証するための空間制限装置の設計・製作を行った.2.音響特性検討としては,(1)瓦礫状壁体の面密度や空隙率を変化させた場合の音響透過損失を縮尺模型実験により調べ,傾向を把握した.以上1.及び2.で得られた成果は,順次学会発表等により公表を行っている。
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