前年度に引き続き下記の研究を実施した。 1.空間計画学的検討(担当:吉村)a.人間工学的寸法に関する測定:閉鎖的空間での救助医療活動における基本姿勢について検討し、類型化した。また、各姿勢に要する寸法について、活動に必要な身体防護装備を装着した状況でのマルチン式人体計測を実施した。また昨年度作成した空間制限装置を用いて動作実験を行ない、動作寸法や活動限界寸法等の測定および動作解析を行った。以上より得られた結果に基づき、実際の活動場面における寸法の影響に関する検討を行ない、指標寸法に関する知見としてとりまとめた。b.訓練施設の整備・活用方策に関する研究:今後我が国では訓練施設整備の基礎資料となる設計資料集成や活用方策資料が必要であることから、上記で得られた寸法系および昨年度実施した海外施設調査や国内施設の活用実態調査の結果などの知見を整理しとりまとめた。また、以上とともに米国・英国および我が国のUS&R実働戦略を比較し、国家体制、リソース配備、施設整備状況、教育訓練体制等の項目ごとに整理して示し、今後我が国に求められる対策について具体的提言としてとりまとめた。 2.音響工学的検討(担当:佐藤)a被災時の音環境条件の推定:被災現場の音環境条件を定量的に推定・把握するため、騒音源となる機材や車両の発生音の測定・分析を行った。その結果容易に90dB以上の劣悪環境になり得ることが推定された。b.瓦礫被災環境の音響的再現:実訓練において音響シミュレーション(騒音再生による訓練負荷の付加)を行い、その効果についてアンケート調査を行った。音響シミュレーションの訓練効果はアンケート結果から認められ、特に、現地集結型を特徴とする我が国の災害救助医療活動における情報共有、指揮命令系統の確立、安全かつ的確な活動の実施と継続に関する訓練への有効性が確認された。
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