研究概要 |
1.視線解析に関して,前年度の予備実験にて得られた知見をもとにして,計測プロトコルの最適化をおこない,引き続き視線解析データの蓄積を図った.前年度の実験では,内視鏡操作中に生ずる頭部移動のため,(1)視線解析装置の頭部装着部のずれによる計測不能フレームの増加,(2)視野が固定されないことにより視点の滞留点の解析を自動化できない,点が問題となった.そのため,(1)頭部移動の影響を観察するため,頭部移動が小さいと考えられるタスクを考案し,視線解析を実施した.(2)視野自体の移動を補正するために,視野の画像処理による移動量検出法を試みた.(1)については予備実験よりも長時間にわたり視線データが確保されたため,頭部移動の影響が測定精度に大きく影響することが明らかとなった.(2)については画像解析ソフトを導入し,解析中である. 2.モーションキャプチャを用い,医療機器を操作中の操作者の上腕運動を解析する技術を開発することとした.予備実験において内視鏡操作タスクを観察したところ,手およびその移動量を検出すれば十分であるとの結論に達したこと,および当初導入予定の磁気式モーションキャプチャ装置では,内視鏡等磁性体が直近にある事による精度低下が危惧されることから,光学式位置センサと手指のみの簡易的なデータグローブを組み合わせて計測することとした.データグローブによる把持動作の計測に成功し,現在,位置センサとの組み合わせを実施中である. 3.今年度までの研究成果は,国際学会2件,国内学会1件において発表し,うち国際学会1件についてはその抄録がMinimally Invasive Therapy and Allied Technologies(インパクトファクタ=0.978)に掲載された.
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