研究概要 |
1.化学プラント操業現場における労働安全管理上の問題に関しては,平成15年度からの5カ年計画として「第10次労働災害防止計画」,平成20年度からの「第11次労働災害防止計画」でリスクアセスメントの実施の重要性など,技術面,人/組織面からの安全管理の課題が設定されている.これらの5カ年計画の内容を基に,現場における労働安全衛生管理上の課題について次の点から整理した.(1)製造業における安全管理情報の共有(活用)に関する問題,(2)中小規模事業場における労働災害に関する課題,(3)化学物質の取り扱いに関する課題,(4)安全衛生活動の取り組み(マネジメントシステムの実行)に関する課題.また,米国のOSHA/PSM,CCPS/RBPS,欧州のSEVESOII,国内の各省庁で推進されている安全管理システム等の目的,内容をまとめ,企業における実際の安全管理活動の状況と比較するとともに,課題抽出を行っている. 2.化学工学会安全部会の設備保全WGで先行して議論されている設備管理のアクティビティモデルのフレームワークを参考に,プラントライフサイクル全体での安全管理の位置付けを再検討し,IPL(独立防御階層)の概念に従った論理的な安全設計とPHA(プロセスハザード解析)の関係を設計アクティビティモデルとして構築するための見直し,検討を行っている. 3.HSG(ハザードシナリオグラフ)モデルを用いた事故シナリオの表現方法を提案するとともに,事故事例情報をHAZOPなどのPHAやプラント安全設計などに活用するための方法を提案した.さらに,ISO15926に基づくオントロジーの概念を用いた事故シナリオモデル作成支援システムを開発し,発表している.
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