研究概要 |
昨年度に引き続き,首都圏でのやや長周期地震動評価のための深部地盤構造のモデル化のために,微動探査を13地点で実施した。すべての地点での微動のアレイ観測記録に対して周波数-波数スペクトル解析を行い,レイリー波の位相速度を求めた。さらに,そのレイリー波の位相速度の逆解析によって地震基盤までの深部地盤の1次元S波速度構造を推定した。その結果を既存のモデル(山中・山田,2006)と比較した。さらに,首都圏において12地点で新たに微動を連続的に観測できる機器を設置し,観測を開始した。得られたデータに対して地震波干渉法に基づく相互相関解析を行い,レイリー波の群速度を推定することを試みた。得られた群速度は,既往のモデルで説明できるものであり,首都圏においても地震波干渉法の適用が可能であることがわかった。また,この結果は,地震波干渉法により得られる表面波の特性は既存の3次元モデルの妥当性に確認にも用いることができることも示している。今後,微動の連続観測データの蓄積を行い,深部地盤のモデルの検証および修正をすることを考えている。 今年度は,被害地震が発生した地域での地盤構造および地盤増幅の理解の地震工学的重要性を鑑み,首都圏以外に地域においても深部地盤のモデル化を行った。まず,中越沖地震の被害地域である柏崎市では,微動探査によるレイリー波の位相速度と地震記録によるレシーバー関数の同時逆解析を行い,同地域での深部地盤のS波速度構造を推定した。また,岩手・宮城内陸地震では,震源域の鬼首地域において微動探査および余震観測を実施し,深部地盤のモデル化のための基礎的なデータの収集を行った。
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