研究課題/領域番号 |
19310124
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
陳 光斉 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (50293882)
|
研究分担者 |
善 功企 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (50304754)
北園 芳人 熊本大学, 工学部, 教授 (40094007)
王 功輝 京都大学, 防災研究所, 助教 (50372553)
周 国雲 西日本工業大学, 工学部, 教授 (50322293)
藤田 敏之 九州大学, 大学院・経済学研究部, 准教授 (30297618)
|
キーワード | 斜面災害 / リスク / ハザード / リアルタイム / 崩壊 / GIS / 数量化理論 / ロジスティック |
研究概要 |
本研究は、土砂災害リスク評価手法の開発および実用化を目指すものである。H21年度は以下の研究成果が得られた。 1. 日本全国におけるハザードマップとリスクマップの作成 本研究で開発した斜面崩壊確率の評価手法と斜面災害による経済損失の評価手法をGISプラットフォームに適用し、日本全国における斜面災害ハザードマップ、資産マップおよびリスクマップを作成し、行政の斜面防災に関する意思決定に寄与することが期待される。 2. ハザードマップとリスクマップの精度向上に関する検討 北九州市をモデル地域として1kmメッシュと100mメッシュでハザードマップとリスクマップを作成し、メッシュサイズの影響を検討した。計算効率とマップの精度を両立させるメッシュサイズの組み合わせ方法を確立した。また、斜面崩壊の年超過確率を推定するために、斜面地盤の強度を考慮した「力学的手法」と崩壊履歴データを活用する「ロジスティック回帰分析手法」を組み合わせて新たな斜面崩壊年超過確率の推定手法を開発した。 3. リアルタイムのハザードマップの作成手法の開発 貯留タンクモデルを導入し、降雨による地盤内の飽和度を示す浸水割合を時間列で求める手法を提案した。浸水割合の時間変化に伴う斜面崩壊確率を算出し、実際の降雨に即したリアルタイムのハザードマップを作成する手法を開発した。福岡県北九州市をモデル地域としてリアルタイムのハザードマップを作成し、時間雨量の増加とともに斜面崩壊危険域は拡大したことが確認された。特に,普段の崩壊確率がそれほど大きくない地域においては、降雨に伴い崩壊確率が急激に大きくなり、増加比が上位5%の危険区域に入ると、崩壊がよく発生することが分かった。 4. 土砂災害危険箇所における効率的な避難体制整備のための危険度評価 福岡県北九州市においては、「砂防法」に基づき、「急傾斜地崩壊危険個所」、「土石流危険渓流」および「地滑り危険個所」など合わせて1133の「土砂災害危険個所」が検出された。実効性のある警戒避難体制を整備するために、本研究で開発された手法を用いて、指定されている1133の「土砂災害危険個所」における危険度を評価し、危険度ランキングをして、危険度の高い箇所を絞り込むことができた。本研究成果の社会への還元を果たしている。
|