1.培養細胞系の樹立 平成20年度の経験に基づき成魚の腎臓をもちいて初代培養細胞の樹立をおこなった。この場合もヒレからの培養と同様に初期には細胞の遊走が見られ、増殖も確認することができた。しかしヒレからの培養にまして、増殖が悪く腎臓による培養でも安定した細胞培養系を得ることはできなかった。 2.ゲノムライブラリーの作成 フォスミドベクターによるライブラリーの作成を継続し約50万クローンよりなるライブラリーを作成した。ライブラリーをスクリニングした結果、3遺伝子のうち1遺伝子に関しては当該クローンを得ることができた。しかし1クローンと得られたクローン数が少ないことから、50万クローンでもいまだ十分なカバー率に達していないことが判明した。BACライブラリーの作成では十分に大きなサイズのゲノムDNAを個体から調整するのが、困難であったことから、本年度でも十分なゲノムカバー率をもつライブラリー作成には至っていない。 何らかの方法で培養細胞系を樹立することが、困難点を克服する重要な点となると考えられるが、ヒレ、腎臓、胚と初代培養細胞を樹立するために他種で多用される組織でも、すべて途中で細胞増殖が停止するという状態である。培養液と血清を変更したが、特段の改善は見られなかった。一方で過去の文献では培養細胞たよる染色体像が得られているとの報告もあることから、増殖期に素早く試料調整をおこなうことで、染色体像を得ることはできるのかもしれない。
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