研究課題
高等真核細胞のクロマチン構造構築の分子機構を解明するため、それに関与する重要因子であるHIRA,ASF1,HAT1,CAF-1等のDT40変異株を作成・解析して、以下のような成果を得た。1.HAT1は細胞質の新生ヒストンH4のLys-5,Lys-12と共にクロマチン結合性ヒストンH4のLys-5のアセチル化も触媒すること、DNA複製とカップルしたクロマチンアセンブリーには必要でないこと、MMSやCPTによるDNA複製阻害で誘起されるDNA障害の修復に関与することなどを明らかにした。2.細胞増殖に必須なCAF-1の各サブユニットp48,p60,p150の欠損はいずれもS期進行の遅延、DNA合成能低下などを伴って死滅する。細胞増殖にはp150とp60,PCNAの結合は必須であるが、HP1との結合は必須でなかった。3.DNA複製阻害剤(HUやAPH等)で誘起されるS期チェックポイントキナーゼChk1の活性化はCAF-1非存在下で顕著に減少し、DNA複製チェックポイントを介したシグナル伝達にCAF-1それ自体か、CAF-1による新生DNA鎖上でのrapidヌクレオソーム形成が重要な役割を果たしている可能性が示唆された。4.ASF1はCAF-1と同様に細胞増殖に必須であり、その欠損はDNA合成能低下を伴うS期進行の遅延、multipolar spindlesの形成などを伴って死滅する。増殖にはASF1とCAF-1p60,HIRAとの結合は必要でなかった。5.HIRAのN-末端半分とC-末端半分は、細胞周期関連遺伝子群の転写制御に関して、それぞれ促進と抑制という逆の役割を担い、細胞周期・増殖をコントロールすること、HIRAはそのN-末端領域のWDリピートを介して、p18遺伝子のプロモーター領域と相互作用し、その転写を制御していることを明らかにした。
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Immunogenetics Research Progress, Nova Science Publishers, Inc. NY (in press)
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