(1)海洋無脊椎動物の採集 南西諸島(鹿児島県:奄美大島、屋久島、および周辺の海底火山)、佐渡(新潟県)、石巻(宮城県)、および呼子(佐賀県)など日本周辺の各海域において、海綿動物、原索動物(ホヤ類)、腔腸動物(軟サンゴ類)を中心に海洋無脊椎動物約200検体を採集した。これらのサンプルから、医薬品探索研究に用いるスクリーニング用サンプルを調整した。 (2)血管新生阻害活性を有するMMP阻害剤ageladine Aの全合成と構造一活性相関 Ageladine Aは海綿Agelas nakamuraiから単離したMMP阻害剤であり、マウスES細胞を用いたin vitro血管構築系において顕著な血管新生阻害活性を示すことが示されている。Ageladine Aおよびその類縁体を合成して、そのMMP阻害活性を測定して構造-活性相関を調べた。 (3)ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤azumamides類の合成と生物活性 鹿児島県産の海綿Mycale izuensisから単離したHDAC阻害剤であるazumamides類の全合成を行い、HDACの各サブタイプについて阻害活性を調べ、構造-活性相関を明らかにした。さらに、azumamide Eについて、マウスiPS細胞を用いたin vitro血管構築系を用いて血管新生阻害活性を調べ、顕著な活性を確認した。
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