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2009 年度 実績報告書

短寿命な気体分子・呼吸酵素複合体の結晶構造から明らかにする呼吸機能の進化

研究課題

研究課題/領域番号 19310147
研究機関鳥取大学

研究代表者

永野 真吾  鳥取大学, 工学研究科, 教授 (60286440)

キーワード呼吸酵素 / 結晶構造 / 分子進化
研究概要

脱窒菌などは脱窒と共役して生体エネルギーを獲得する硝酸呼吸をおこなうことができる。脱窒を担う酵素群のなかで一酸化窒素を亜酸化窒素(N_2O)に還元するのが一酸化窒素還元酵素(NOR)である。NORは好気呼吸の末端酸化酵素であるシトクロムcオキシダーゼ(CcO)とアミノ酸配列の相同性が見られることなどから、NORはCcOの祖先分子であるとみなされており、呼吸酵素の分子進化の観点からも興味深い。本研究ではNORやCcOの機能発現の鍵となる気体分子複合体の結晶構造解析から、呼吸機能の進化の仕組みを解明することを目的としている。平成22年度はシトクロムcから電子を受容するcNORの2.7Å分解能の結晶構造を報告した。この酵素の全体構造は、キノールから電子を受容するqNORおよびCcOとよく類似しており、構造からもこれらの分子の進化的類縁関係を伺い知ることができた。一方、CcOの活性部位は、三つのHisが配位したCuとヒスチジンが配位したヘムから構成される複核中心となっているのに対し、cNORでは三つのヒスチジンに加えてグルタミン酸が配位したFe、およびヒスチジンが配位したヘムが活性部位を構成していた。また、CcOはミトコンドリア内膜の内側から外側へプロトンを能動輸送するのに対し、cNORでは膜の内側から活性部位へつながる可能性のあるプロトンチャネルは見出すことができなかった。しかし、cNORの結晶構造は、膜の外側に面した分子表面から、活性部位に向かうチャネルの存在を示した。これらの構造的知見は、呼吸酵素の分子進化および基質や機能を返還する仕組みを解明する上で極めて重要である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Structural Basis of Biological N_2O Generation by Bacterial Nitric Oxide Reductase2011

    • 著者名/発表者名
      Tomoya Hino
    • 雑誌名

      Science

      巻: 330 ページ: 1666-1670

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Understanding substrate misrecognition of hydrogen peroxide dependent cytochrome P450 from Bacillus subtilis2010

    • 著者名/発表者名
      Osami Shoji
    • 雑誌名

      J.Biol.Inorg.Chem.

      巻: 15 ページ: 1331-1339

    • 査読あり
  • [学会発表] シトクロムP450の多彩な機能発現の仕組みを構造から理解する2010

    • 著者名/発表者名
      永野真吾
    • 学会等名
      日本生化学会北海道支部講演会
    • 年月日
      20100600
  • [学会発表] 抗がん剤インドロカルバゾールの基本骨格を構築するP450 StaPの結晶構造解析と反応機構2010

    • 著者名/発表者名
      永野真吾
    • 学会等名
      BMB2010
    • 発表場所
      横浜国際会議場
    • 年月日
      2010-12-10
  • [学会発表] 嫌気呼吸系の一酸化窒素還元酵素の構造と分子進化2010

    • 著者名/発表者名
      永野真吾
    • 学会等名
      第10回日本蛋白質科学会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      2010-06-17
  • [図書] Handbook of Porphyrin Science2010

    • 著者名/発表者名
      Yoshitsugu Shiro
    • 総ページ数
      123-163
    • 出版者
      World Scientific
  • [備考]

    • URL

      http://www.bio.tottori-u.ac.jp/~bioeng/

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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