研究課題
基盤研究(B)
酸素を使わない嫌気呼吸において機能する一酸化窒素還元酵素(NOR)は、酸素を使った好気呼吸の鍵酵素シトクロム酸化酵素(CcO)と進化的な類縁関係が指摘されている膜酵素である。本研究では、NORへ電子を与える物質が異なる二種類の酵素(cNOR,qNOR)の結晶構造を世界に先駆けて決定した。これらの酵素はいずれもCcOと全体構造や金属中心の配置がよく類似しており、構造からも呼吸酵素の進化的類縁関係が示された。シトクロムcから電子を受け取り反応を行うcNORでは、一酸化窒素の還元に使われるプロトンは膜の外側から供給されると考えられる。しかし、キノールから電子を受け取るqNORでは、同様のプロトン供給経路は見出されず、逆に膜の内側から活性部位へと通じたチャネルが見いだされた。これらの知見は反応に必要なプロトンの供給経路には、呼吸酵素の中で多様性が存在することを示唆している。本研究で決定されたNORの結晶構造は、嫌気呼吸酵素の理論的な解析の重要な基盤となるとともに、呼吸酵素の分子進化や機能変換の仕組みを解き明かすうえで重要な指針を与えるであろう。
すべて 2011 2010 2009 2008 2007 その他
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (8件) 図書 (2件) 備考 (1件)
Science 330
ページ: 1666-1670
J.Biol.Inorg.Chem. 2010, 15
ページ: 1331-1339
J. Am.Chem.Soc 131
ページ: 6748-6762
J.Am.Chem.Soc. 130
ページ: 7170-7171
Small 4
ページ: 50-54
J.Biol.Chem. 283
ページ: 6459-6466
Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 104
ページ: 11591-11596
Angew.Chem.Int Ed. 46
ページ: 656-3659
http://www.bio.tottori-u.ac.jp/~bioeng/