研究概要 |
本研究は、絶滅危惧種が多く存在する徳之島を島嶼生態系のモデルと捉え、土地利用の進行にともない発生する森林の孤立化が地区および島の多様性に及ぼす影響を解明することを目的としている。平成21年度は、以下の項目について調査を行った。1)孤立化履歴の評価を目的とし,徳之島に現存する森林の林令および地形情報を第3次国有林野施業実施計画図(平成17年度末現況)に基づいてGIS化した.2)林分構造と更新力の評価を目的とし,皆伐地に更新した林令56年のオキナワウラジロガシ林の林分構造の調査,三京のオキナワウラジロガシ林内における肥大成長速度の隔月観測,既設調査区におけるオキナワウラジロガシの堅果生産力調査,堅果散布過程の解明を目的とした赤外線センサー付カメラによる観測を行った.3)種多様性の評価を目的とし,遺伝的多様性評価の観点から孤立化履歴が異なる地域において,すでに葉の遺伝的多様性を分析した複数個体からオキナワウラジロガシ堅果を採集した.熱帯亜熱帯における共存メカニズムを考えるために、三京コアエリアにおける低木性のアカネ科のボチョウジ、アカミズキ、シマミサオノキ、クチナシ4種の樹形が生育とともに、どのように変化するかを調査した。三京コアエリアにおける林床のアリ相を調べた。今回は林床にある直径10cm以上の朽木40サンプルから,合計16種が得られた。昨年度の調査で地上枯枝から6種,土壌から10種しか得られていなかったことから,本調査地では朽木がもっとも多くの種によって営巣場所として利用されていることが判明した。
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