研究課題/領域番号 |
19310150
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研究機関 | 滋賀県琵琶湖・環境科学研究センター |
研究代表者 |
西野 麻知子 滋賀県琵琶湖・環境科学研究センター, 部門長 (60237716)
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研究分担者 |
大高 明史 弘前大学, 教育学部, 教授 (20223844)
池田 実 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教 (70232204)
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キーワード | 遺伝子汚染 / 外来個体群 / 淡水エビ / 外部共生 / 共生攪乱 / ヒルミミズ |
研究概要 |
1.日本に侵入しているカワリヌマエビ属および共生動物の由来を調べるため、中国で現地調査を行い、河南省1地点、広東省4地点でカワリヌマエビ属と中国原産のヒルミミズを含む共生動物を採集した。 2.中国の標本と日本国内の標本(ミナミヌマエビ分布域内の西日本18地点と、分布域外の北海道、東日本の3地点)のカワリヌマエビ属のmtDNAを解析し、COI遺伝子522塩基の配列を決定し、系統解析を行った。その結果、得られたハプロタイプは比較的高い確率で支持される2クレード(IとII)に分かれた。Iは国内のハプロタイプのみから構成され、IIは国内と中国の両方のハプロタイプで構成されていた。3. この結果から、Iが在来(=ミナミヌマエビ)の系統、IIが外来の系統と考えられ、日本に外来のカワリヌマエビ属が侵入・定着している可能性は極めて高いことが示された。国内でのクレード分布を検討したところ、ミナミヌマエビの自然分布域内では18個体群中7個体群は在来クレード、7個体群で外来クレードが検出、また4個体群で両クレードが混在し、在来ミナミヌマエビとの交雑による遺伝子汚染の可能性が示された。一方、分布域外の個体群はすべて外来クレードだった。 4.中国で採集されたカワリヌマエビ属から、ヒルミミズ類、ツノウズムシ類、ヒルガタワムシ類の3種類の外部共生者が見いだされ、ヒルミミズ類については日本で発見された種と同一種であることを確認した。ヒルミミズが付着していた4地点では、ホストの8-17%はヒルミミズとツノウズムシの両者を共生させており、両者の共生数には相関はなかった。また現地での生体観察でも、一方が他者を排除する行動は観察されなかった.ヒルミミズの原産地でツノウズムシと共存が確認されたことから、外来と考えられる日本のカワリヌマエビ個体群でも、在来の共生者との新たな関係ができる可能性があることがわかった。 5.日本と世界の外来ヒルミミズに関する知見を整理し、論文に著した. 6.京都府深泥池のカワリヌマエビ属が定着に成功した要因を考察し、図書に著した。
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