研究課題
本年度は、複合国家イギリスの地域的展開において重要な画期となる、ピューリタン革命前後の時代を中心に考察した。具体的にはイングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランドという、多様な民族からなる各地域が、この時期に、それ以前とは比べ物にならないほど緊密で複雑な関係を取り結び、複数の国からなる「複合民族国家」としての「ブリテン国家」が、また植民地までも含む「ブリテン帝国」が姿を現す過程を検討した。本研究は、研究対象がイングランドだけでなく、ウェールズ、スコットランド、アイルランド、アメリカといった多様な地域に及び、研究方法でも、狭義の歴史学だけでなく、政治思想史、社会史、文化史といった多面的アプローチを行って、複合国家イギリスの特質を明らかにするという意義をもつ。平成21年度には、三年間におよぶ共同研究の総括を行うため、9月に仙台で、12月には熊本で、22年度には、9月に東京で研究合宿を開催した。合宿では全員が報告し、研究代表者と研究分担者の意思疎通をはかり、共同研究の目的を明確にした。これらの成果は、以下に掲げる岩井、山田、西村らの研究成果に具体的に示されている。共同研究の構成員は、研究計画に応じて、平成21年度に、イングランドに加えてウェールズとスコットランド、アイルランドに関する研究を進めるため、夏期に海外調査研究に出かけた。とくに富田はエディンバラにあるNational Library of Scotlandを中心とした史料収集と文献調査を行った。また、海外調査だけでなく、本研究課題に関わる雑誌・著書などは日本の主要大学にも所蔵されているので、国内でも大阪大学、東北大学、青山学院大学、明治学院大学、聖学院大学などの図書館で文献調査を行った。加えて本年度は、科学研究費を用いて、アメリカ合衆国のハーヴァード大学からデイヴィッド・アーミテイジ教授を招聘し、青山学院大学、聖学院大学、京都大学、静岡大学、上智大学で研究会と講演会を開催した。
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イギリス哲学研究
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静岡大学人文論集
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広島法学
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http://www.hiroshima-u.ac.jp/law/kyouin/yamada/p_324d58.html