研究課題/領域番号 |
19310163
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
松川 誠一 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (20296239)
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研究分担者 |
清水 洋行 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50282786)
藤原 千沙 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (70302049)
矢澤 澄子 東京女子大学, 文理学部, 教授 (00106296)
吉村 治正 青森大学, 社会学部, 准教授 (60326626)
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キーワード | ケア / 感情労働 / グループホーム / 市場化 / 職業アイデンティティ / バーンアウト / 組織コミットメント / ジェンダー |
研究概要 |
本研究の目的は、ケアの市場化がケア労働者が行なっている感情労働に与えている影響について分析することにある。2007年度は、まず第一に、2006年度に調査を行なったグループホームで働くケアワーカーの大規模調査で得られたデータの再分析を行なった。分析の結果、グループホーム職員のバーンアウト、職務満足、組織コミットメントの程度は、雇主の法人格の違いにより差があるが、営利法人か否かで差があるわけではないことが判明した。他方、感情労働の程度や職員の属性などの変数を統制すると、法人格の違いはバーンアウトに影響を及ぼしていないという結果も重回帰分析の結果から得られ、営利性そのものがケアの質に直接影響を与えているのではないことがわかった。また、バーンアウトと感情労働の関係について、情緒的疲労感と脱人格化は感情労働に関係があるが、個人的達成感については関係がなく、職務アイデンティティをサポートするような組織内環境が個人的達成感に影響を与えているという結果が得られた。 第二に、グループホームに対するインタビュー調査を行なった。法人格の違いは、登記上の問題であるにすぎないケースがあり、グループホームを統括する管理責任者の考え方や行動が職場の組織環境に大きく与えていることがわかった。これは、法人格の違いが職員の行動やケアの質に直接影響を与えているのではなく、管理責任者を媒介として影響を及ぼすことを示唆している。また、管理者や職員が、どのような経路で入職するのかという労働市場の社会的な構造の分析が必要であることが明らかとなった。
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