研究課題/領域番号 |
19310163
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
松川 誠一 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (20296239)
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研究分担者 |
藤原 千沙 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (70302049)
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キーワード | ケア / ジェンダー / 感情労働 / 専門職 / バーンアウト / グループホーム / 市場化 / 社会的ネットワーク |
研究概要 |
グループホームの職員と管理者に対して実施した全国郵送調査の結果を利用して、ケアの市場化政策がケア労働に対して与えている影響について分析を行った。特に、ケア労働における感情労働的な要素とそれに関連する諸因子に関する分析と、グループホーム管理者の入職経路に関する分析を中心に行った。 (1)感情労働的要素をポジティブな感情表出のための表層演技、ポジティブな感情表出のための深層演技、ネガティブな感情を表出しないための深層演技の3点に操作化し、バーンアウト尺度の3つの下位尺度を従属変数、感情労働に関する3要素を独立変数とした重回帰分析を行った。情緒的疲労と脱人格化に関わる下位尺度に対して感情労働変数はすべて正の影響を与えていたが、個人的達成感の低下に関わる下位尺度にはネガティブな感情を表出しないための深層演技しか有意な影響を与えていなかった。次に感情労働の頻度に影響を与えている要因を分析するために、上記の感情労働3要素を従属変数とした重回帰分析を行った。年齢とキャリア・コミットメントのみが、3変数すべてに有意な負の影響をもっていた。また保有資格は、まったく有意な影響をもっていなかった。 (2)グループホーム管理者が現在の職に就く際にどのような経緯でその職に関する情報を得て就職するに至ったのかを分析した。中間管理職であるにも関わらず20歳代、30歳代の約3割が外部労働市場経由であった。介護職出身の者は内部労働市場経由が、看護職出身の者は外部労働市場経由がそれぞれ相対的に多く、看護職が介護職に比べて豊かな社会関係資本を持っていることが示唆された。また、外部労働市場経由で就職した者のなかでは、以前の勤務先に関連するパーソナルで親密な社会的紐帯を利用した人が、職業安定所や求人広告などインパーソナルな制度を利用した人よりも大きな割合を占めており、グラノベッターの「弱い紐帯の強み」仮説とは異なる結果が観察された。
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