研究課題/領域番号 |
19310164
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
木本 喜美子 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (50127651)
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研究分担者 |
笹谷 春美 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (00113564)
橋本 健二 武蔵大学, 社会学部, 教授 (40192695)
千葉 悦子 福島大学, 行政政策学類, 教授 (30217244)
中澤 高志 大分大学, 経済学部, 准教授 (70404358)
宮下 さおり 九州産業大学, 国際文化学部, 准教授 (30447586)
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キーワード | 女性労働 / ジェンダー / 女性職 / 戦後日本 |
研究概要 |
19年度は、まず実態調査の対象地域として福島県北地域(川俣町、伊達市保原、梁川)を選定し、この地域における産業変動過程を把握するためのインタビュー調査、資料収集に取り組んだ。そこから浮かび上がってきたのは次の諸点である。 1.まず、対象地域ではいずれも繊維業(絹織物とニット産業)の蓄積があつく、女性労働に大きく依存してきたという特性がある。繊維業の衰退にともなって企業誘致がなされ、電子産業、縫製業などが進出するとともに、女性の就労構造に変化が生じている。この地域の女性のキャリアヒストリーをとりおさえれば、地域産業変動過程をつぶさに把握することが可能となる。また誘致企業は低賃金を前提に女性労働を目当てに進出してきているが、同時にこれは、この地域における日本的雇用慣行をはじめて導くものであったことが明らかとなった。 2.こうした点をふまえると、研究の焦点は当該地域の女性のキャリアヒストリーの詳細な聞き取りにおかれるべきであり、またその聞き取りにおいては、女性たちの就労を支えてきた地域的ケアワーク体制(育児・介護)の変遷を読みとりつつ、地域自身が編成してきたケアワーク政策の実態的変遷、労働市場における女性ケアワーカーの位置づけをこれと組み合わせてアプローチすべきことが明らかとなった。 3.最後に、相対的高学歴層については、19年度は十分にアクセスしえなかったが、この層の位置づけを探ることが、製造業現業労働者像を深めるために不可欠な対象であることが、確認された。
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