研究課題/領域番号 |
19320007
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
杉田 正樹 関東学院大学, 人間環境学部, 教授 (70130937)
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研究分担者 |
加藤 尚武 鳥取環境大学, 大学院・環境情報学研究科, 客員教授 (10011305)
竹内 整一 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (80107515)
沖田 行司 同志社大学, 社会学部, 教授 (20131287)
香川 知晶 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (70224342)
篠澤 和久 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (20211956)
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キーワード | ビジネスエシックス / CSR / グローバル化 / 信頼 / 職人倫理 / 道徳教育 / 儒教 / コンプライアンス |
研究概要 |
1.今年度は、「中間報告書」をまとめた。これは、平成20年のアルザスでの「労働と倫理」に関するシンポジウムと、デュッセルドルフでのワークショップの発表原稿と、それに対するコメントを収録したものである。これによって、ヨーロッパと日本における労働観の相違のみならず、ビジネスエシックス観の相違の一端も、また明らかとなった。なお、このシンポジウムの開催時は、サブプライムローン問題が明らかになりつつある時であって、当時、日本はまだ楽観的な見方が支配的であった。その後の深刻な事態に関しては、同報告書の「まえがき」で簡単に触れておいた。 2.これはまだ実績には結実していないが、最終報告として「日本の企業家の倫理意識(仮題)」の準備のために、現在、倫理意識の高い企業家へのインタビューを精力的に行っている。グローバル化による金融危機を契機に、デフレ、経済収縮、失業の負のスパイラルで日本は苦しんでいるが、こういうとき、模範となる企業家の倫理意識や気概を提示することは、我々の研究課題からしても、喫緊の課題をなすであろう。世間がCSRと言う遙か以前から、公益と私益の無益な対立を軽々と超えた企業家たちがたくさんいたし、現在もいるのである。これを顕揚するための準備を今年度は重点的に行った。 3.我々の課題は「経済倫理の新たなグローバル・スタンダードの構築」であるが、グローバル化に適応するのではなく、その本質を見極めた上で対抗する必要がますます明らかとなった。そのときの対抗軸として考えられるのが、一つは職人の倫理であり、また、今日忘れられているいわゆる世俗倫理であり、儒教であり、日本化した仏教であり、風土に根ざした古神道などの伝統的価値観である。こういう視点からのインタビューも現在精力的に行っているところである。
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