研究課題
今年度は、4回の大きな共同の研究会を開催して、当該のテーマについての学識を深めた。また、各分担者が資料や研究文献を収集し、各自の問題について研究を深めた。第一回の共同研究会では、川村信三氏がキリシタン時代の日本における、購罪の手引書についての報告を行い、ヨーロッパのキリスト教がいかにアジアのわが国に受容されたかを思想史的な系譜を中心に発表した。第二回は、ヨーロッパのユダヤ人をテーマにして研究会を行ったが、古川誠之氏が中世ドイツのユダヤ人について、ゲストの坂本宏氏がスペイン近世のユダヤ人について報告を行った。ユダヤ人がキリスト教世界のなかでいかなる地位にあったかが論じられた。さらに、第三回は、ヨーロッパの王権を宗教的な性格から分析する報告会を行い、ビザンツについては小林功氏が、ロシア中世については三浦清美氏が発表した。その会には、ゲストとして皆川卓氏がドイツ近世について、松園伸氏がイギリス近代について報告し、比較史的な観点から王権の宗教的性格について検討した。その後、第四回として、東欧のキリスト教と社会についての報告会を行い、中島崇文氏がルーマニア近代のキリスト教と社会について報告し、ゲストとして河野淳氏がハプスブルクとオスマントルコの関係について、唐沢晃一氏がセルビア中世について報告した。このような共同研究会を通じて、教会や王権という権力と、民衆宗教との関係を、ヨーロッパ各地やその影響を受けたアジアの日本などについて、具体的に検討することができた。このような比較考察から、キリスト教会と民衆宗教の融合、あるいはユダヤ教などの異教とキリスト教の民衆レヴェルでの融合などの問題を今後深めていく可能性を見出すことができた。
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電気通信大学紀要 21
ページ: 195-231