研究課題/領域番号 |
19320018
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
多賀 茂 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 准教授 (70236371)
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研究分担者 |
西井 正弘 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (60025161)
杉万 俊夫 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (10135642)
岡田 温司 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (50177044)
大黒 弘慈 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 准教授 (50262126)
立木 康介 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (70314250)
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キーワード | ひと / 思想 / 現代社会 / 先端医療 / 現代芸術 |
研究概要 |
前年度に行った準備的調査・研究の成果が現れ始めた年度であった言えるだろう。人文科学・アート・医療の接点を創設しつつ、その場において「ひと」という概念について、新たな見解を探求するということが私たちの目標であったが、それは例えば2008年7月に行った現代芸術家、塩田千春を招いての研究会において、十全な形で実現された。「ひと」という存在が抱える苦しみや不安の大きさをそのまま作品にする塩田の世界に対して、カナダ・マッギル大学の精神科医・医療人類学者カーマイヤー教授は、戦争や殺戮をめぐる人類の暴力の歴史を指摘され、私たちの視点を世界の様々な民族の間の諸問題へとむけさせた。そのほか、今年度はフロイトの思想をめぐる研究会、病院内における芸術活動の紹介、舞踏家土方巽の上映会、制度を使った精神療法をめぐる研究会など多くの成果が上がった。さらに2009年に入ってからは、フランス・ボルドー大学からル・ブラン教授を招いて、フランスの思想家ミシェル・フーコーにおける「ひと」の概念について講演会とセミナーを開いたほか、日本を代表する舞踏家勅使川原三郎と思想家宇野邦一を招いて、人間の身体の再発見をめざすワークショップを開いた。いずれの会も、私たちに現代において「ひと」が置かれている危機的状況や、その状況から私たちが抜け出すために、今私たちはどういう手順で、どういう問題について考えなければならないかを明確に示してくれた。一方、海外や国内での研究調査も継続して行った。また昨年度のマルディネに続き、思想と精神分析・精神医学をつなぐ重要な人物として(いずれも故人ではあるが)ベルギーのジャック・ショット、あるいはハンガリー出身のレオポルド・ソンディらの人物が注目された。また昨年度から連絡を取っている芸術家やなぎ・みわは、まさに本年度ヴェネチア・ヴィエンナーレの日本代表に選ばれており、帰国後は当研究プロジェクトに積極的に参加してくれる予定である。
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