研究課題/領域番号 |
19320023
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
ゴチェフスキ ヘルマン 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (00376576)
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研究分担者 |
長木 誠司 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50292842)
岡田 暁生 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (70243136)
安田 寛 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (10182338)
高橋 雄造 昭和大学, 富士吉田教育部, 非常勤講師 (60055225)
左近田 展康 名古屋学芸大学, メディア造形学部准, 准教授 (20410897)
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キーワード | 機械音楽 / 音楽美学 / アルゴリズム / ピアノ教育 / 近代化 / 始原楽器 / 機械芸術 |
研究概要 |
平成20年度には一部のメンバーでドイツ・ライプツィヒに行われた国際会議『音楽・都市』において「非精神性の美学: 歴史と現在の機械音楽」というシンポジウムとポースター・プレゼンテーション(http://fusehime.c.u-tokyo.ac.jp/gottschewski/leipzig/leipzlg01.html)を行った。研究代表者は古代から中世に渡って近代まで変化して来た機械論とそれに伴う世界観を概観した後、機械と精神との関係を美学的に考慮した。研究分担者岡田は19世紀のピアノ教育などに使われた機械的な練習の意義を明らかにし、その非精神的な性格こそが精神を自由にするーつの道であったことを明らかにした。演奏の技術的な面を完全に自動化することによって精神が初めて自由に音楽を支配することができるという考えである。また、自動化で行われる繰り返しと強化がワーグナーを始めとして19世紀の作曲家の作曲技法にも無関係ではないと示された。研究分担者長木は日本の未来派(20世紀前半)における機械の見方、外国人協力者呉は戦後の韓国音楽における機械アートの特徴を明らかにした。外国人協力者リッチズは自作の音楽機械、特に19年度の展覧会「機械じかけの音楽」の為に当時の研究分担者三輪と共同作品として作ったTHINKING MACHINEについて発表した。ディスカッションでは特にこのプロジェクトの外国人協力者でもあるクロッツや現代音楽の権威者であるヒーケルが発言し、THINKINGとMACHINEの矛盾や現代アートにおける精神の概念やそれについてアジアの独特な考え方について盛んに意見交換があった。 他の研究分担者の活動としては特に高橋が行ったスイス、ドイツやフランスの博物館における自動楽器との関連資料調査が特記すべきである。また研究分担者の佐近田が歌声をリアルタイムに生成する機械歌唱ソフトウェア研究をすすめ、「こぶし」「かすれ」等の歌唱技法のアルゴリズム実装をはじめ、歴史上実在した特定の歌手の声紋的特徴および歌唱技法の特徴をパラメータ化し、リアルタイムに制御する発声エンジンを開発。それを用いた音楽作品「Le Tombeau de Freddie/L'Internationale」(2009)を三輪眞弘とともに制作/発表。他には研究プロジェクトのホームページを作って、それを徐々に充実させた。
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