研究課題
平成21年度も基本的に前年度の方針を継承し、調査と研究会を中心に活動を進め、飯田市美術館本聖徳太子絵伝を研究対象の中核作品として、根津美術館本善光寺如来縁起絵、メトロポリタン美術館本聖徳太子絵伝、静嘉堂文庫美術館本聖徳太子絵伝などの検討を行った。その成果は、学習院大学史料館に於いて展覧会「掛幅縁起絵研究の現在-模写・トレース・復元-」(2009年12月8日~12日)と、シンポジウム(2009年12月12日、学習院大学、報告者8名)において集約的に開示し、少なからぬ観覧者を得た。なお、この展示用に作成した解説パネルの一部は現在、飯田市美術博物館のロビー展示としても利用されている。また、3年間の研究報告から、18編の論考を集め、佐野みどり・新川哲雄・藤原重雄編『中世絵画のマトリックス』(青簡舎、全449頁、2010年9月)を刊行した。収録論文は、掲載順に以下の通りである。佐野みどり「中世掛幅縁起絵序説』、阿部泰郎「宗教図像テクスト複合としての聖徳太子絵伝」、織田顕行「飯田市美術博物館「聖徳太子絵伝について」、藤原重雄「掛幅本鞍馬寺縁起絵の絵画史的位置」、原口志津子「本法寺法華経曼茶羅にみる掛幅説話絵の論理」、池田美弥子「蜜月生まれの絵画-掛幅縁起絵の構造から」、新川哲雄「『一遍聖絵』の語る『聖』」、メラニー・トレーデ「永享五年八幡縁起絵巻の生涯とその余生」、加藤みち子「温泉寺縁起の思想的背景」、林東洋「『古語類要集』にみる十種神宝図について」、小平美香「中世における「子良」の諸相」、米倉迪夫「描かれた明石-法然上人伝法絵と一遍聖絵」、丸山陽子「『伊勢新名所絵歌合の邸宅図と和歌』、阿部美香「二所三島の社頭図-中世霊地図像の展開」、高岸輝「清水寺縁起絵巻の空間と国土」、土谷真紀「「鞍馬蓋寺縁起絵巻」における縁起と景観」、上野友愛「洛外名所絵から洛中洛外図屏風へ」、茨木恵美「滋賀県立近代美術館蔵「近江名所図屏風」の景観イメージ」以上のごとく、中世掛幅縁起絵とその周辺を思想史、文学、中世史、美術史など諸分野からの多彩に立論した本書の刊行は、研究グループの分野横断的構成の有効性を示すものでもある。
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國華
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東京大学史料編纂所附属画像史料解析センター通信
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国文学 解釈と鑑賞
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『日本語テクストの歴史的軌跡』グローバルCOEプログラム「テクスト布置の解釈学的研究と教育」第8回国際研究集会報告書
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日本思想史学
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