研究課題/領域番号 |
19320030
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
遠山 公一 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (90227562)
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研究分担者 |
出 佳奈子 弘前大学, 教育学部, 講師 (60469426)
金山 弘昌 慶應義塾大学, 文学部, 准教授 (60327278)
金原 由紀子 尚美学園大学, 総合政策学部, 准教授 (20445141)
望月 典子 慶應義塾大学, 文学部, 講師 (40449020)
細野 喜代 慶應義塾大学, 文学部, 講師 (20513287)
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キーワード | コレクション / 蒐集 / パトロネージ / 宮廷 / 展示 / 台座 / 聖遺物 / 政治性 |
研究概要 |
研究最終年に当たる2009年度には、第二回目の研究発表シンポジウムを開き(1月30日、慶應義塾大学三田キャンパス)、6名の発表と全体討議が行われた。さらに、代表者、分担者4名、協力者11名による論文16編と、代表者による序文を含む冊子体による成果報告書が印刷・出版された。そこでは、過去2年間に財産目録などの史料の検証を通して明らかとなってきた古代から近代ヨーロッパに於ける美術品蒐集の実態、および美術史上の問題点が議論された。極めて多岐にわたる蒐集の内容として、自然物、古代遺物、聖遺物(彫刻・宝飾品)、絵画、彫刻、タペストリー、磁器など広範囲の対象が検討され、各分野に於ける美術史研究の課題とつきあわせて問題があぶり出されてくる。すなわち、聖遺物蒐集に於ける教会と都市国家間の関係、ブルゴーニュ公国およびイタリア・メディチ家やゴンザーガ家、グリマーニ家、スペイン・ハプスブルク家など宮廷蒐集の実態と、蒐集物の配置・展示(台座・額縁)・公開のもつ問題が議論され、さらに政治的な効果が指摘された。また、近代の美術館・博物館の成立を直接論ずることは出来なかったが、アカデミーにおける価値観の推移、過去の作家の流通・再評価におけるコレクションの影響をも視野に入れ、近世・近代に於ける蒐集の実態調査とその解釈を行うことで、コレクションの孕む多くの問題を多角的・包括的に論じるという研究の目的が達成された。
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