真福寺聖教を主な対象とした復原的研究は、初年度に基本的なシステムおよびデータベースを構築した断簡整理およびそのデータ化を、当初の目的である第110合について実施し、そのうち200号までのデジタル撮影を含むデータ化を完了した。その準備のための仮整理は、600号に及んでおり、すでに110合の半ばを終えている。一方、この整理過程で断簡中から見いだされた新出の栄西著作『改編教主決』および初期禅宗聖教については、末木文美士教授を中心とするワーキンググループによる復原研究を進め、平成20年7月にグローバルCOEプログラム第4回国際研究集会「日本における宗教テクストの諸位相と統辞法」のプレカンファレンスとして、ワークショップを開催し、資料紹介と研究報告を行った。真福寺聖教については、このほかに第44合上の『野決』具書等について撮影を行い、整理に取りかかっている。また、仁和寺聖教についても、声明・唱導関係の調査を行い、勧修寺大経蔵聖教についても目録作成、点検作業を行った。 研究成果の発信については、平成20年12月に公開研究集会「室町期における修験道の儀礼再興と文化興隆」を行い、修験道の宗教テクストに関する多面的な考察を行った。
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