研究概要 |
本研究の目的の一つの柱である「金剛寺聖教の全体的調査」については、毎月1度、大阪府河内長野市にある天野山金剛寺に出張して所蔵資料の整理調査を行った。これには研究代表者、研究分担者、連携研究者のほか研究協力者も含め、毎回10人前後が参加した。それによって略目録作成のための調査カード、および識語集成作成のための詳細な調査カードの2種類に分けて、カードを作成した。その結果として、第31函から第46函までの略目録を作成した。 もう一つの本研究の柱である貴重典籍の精査については、これも毎月の調査の折に原本について調査するとともに、写真撮影を行った。具体的には『清水寺縁起』、儒教経書の目録である『全経大意』、また中世の音楽資料などを対象とした。 上記の研究成果を以下のかたちで公表した。 (1) 中間報告書の刊行:『真言密教寺院に伝わる典籍の学際的調査・研究-金剛寺本を中心に-』研究成果中間報告書(平成21年度)を刊行した。総ページ数93ページ。これに上記の全体的調査の成果である、第31函から第46函までの略目録を収載し、関連研究者・関連機関に配付した。 (2) 研究会の開催:2009年12,月、大阪大学において研究会を開き、金剛寺所蔵資料の版本について、および金剛寺所蔵の中世音楽資料についての研究成果を報告した。 (3)論文の執筆:『全経大意』について論文を発表した(後藤昭雄「『全経大意』と藤原頼長の学問」「成城国文学論集」33輯)。
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