研究課題/領域番号 |
19320041
|
研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
大橋 毅彦 関西学院大学, 文学部, 教授 (60223921)
|
研究分担者 |
竹松 良明 大阪学院短期大学, 経営実務科, 教授 (30249396)
趙 夢雲 東大阪大学, こども学部, 教授 (80390152)
鈴木 将久 明治大学, 政治経済学部, 准教授 (00298043)
木田 隆文 奈良大学, 文学部, 講師 (80440882)
|
キーワード | 日本近代文学 / 中国現代文学 / 上海史 / 邦字新聞 / 「大陸新報」 |
研究概要 |
本研究は1939年から1945年まで上海で発行されていた邦字新聞「大陸新報」掲載の文芸・文化関連記事、及びその周辺で展開される言説活動の調査・整理・分析を通じて、戦時下上海における日中のそれを主とした文化動向を多層的に捉えていくことを目的としている。 平成21年度は、この目標を達成するために当初の計画通り5回の研究会を開催したが、そこでは「日中戦争中、路易士の詩と詩論」、「武田泰淳作品における女性形象」のようなタイトルで「大陸新報」に作品を寄せた日中の文学者の活動の実態を掘り下げることを目的とした報告や、この研究プロジェクトの進行中に刊行されたもので、「大陸新報」紙上の言説を相対的に把握する上で有効だと思われる国内外の研究書(ロバート・ビッカーズ著『上海租界興亡史』・榎本泰子著『上海多国籍都市の百年』)を取り上げた報告がなされ、著者の榎本氏をはじめ、平成20年度を上回る外部からの参加者も得て、毎回活発な討議がなされた。 また、こうした研究会活動と並行して「大陸新報」掲載の文芸・文化関連記事細目の完成を目指した。文学・美術・音楽・演劇等のジャンルや、東亜同文書院・上海自然科学研究所といった上海における日本の文化統治のありようを考える上で重要な機関の動向に関する記事はほぼ2万件拾うことができたが、映画や現地出版物の広告やコラム欄の扱いについての討議も重ねながら、ゆまに書房から『「大陸新報」掲載文芸文化関連記事細目』(仮題)出版(平成22年12月刊行予定)の準備に取りかかっている。同社からは平成21年11月に「大陸新報」マイクロフィルム版とともに、別巻1として『大陸新報主要記事目次昭和14・15年』が刊行されたが、そこに採録されたものは主として政治・経済に関わるものである。昭和16年以降についての続刊も予定されているが、採録方針に変更はないとのこと。本研究プロジェクトの成果として刊行されるものは、いわばそうした「大きな物語」では掬い取ることのできない情報の集積を示すことによって、戦時下の上海が発現する文化的諸問題にアプローチする上での基礎的かつ必須の文献となるだろう。
|