研究課題/領域番号 |
19320047
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
冨山 太佳夫 青山学院大学, 文学部, 教授 (70011377)
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研究分担者 |
川津 雅江 名古屋経済大学, 法学部, 准教授 (30278387)
大石 和欣 放送大学, 教養学部, 准教授 (50348380)
梅垣 千尋 青山学院女子短期大学, 英文学科, 講師 (40413059)
吉野 由利 一橋大学, 法学部, 講師 (70377050)
山口 みどり 大東文化大学, 法学部, 講師 (00384694)
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キーワード | 女性 / ジェンダー / 公共圏 / 言説 / セクシャリティー |
研究概要 |
本格的な研究遂行に入るための準備研究が難航し、平成19年度は当初予定していた渡航調査、海外研究者の招聘を次年度に繰り下げ、個別的なテーマにそった国内における基本的リサーチを中心に研究遂行することになった。当初の予定通り、富山(研究代表者)が総括をし、高橋(研究メンバー)および川島(研究メンバー)が文学および歴史双方から指揮しながら、川津、大石、梅垣、吉野、山口がそれぞれの担当言説を精査していった。具体的には、川津は女性のセクシャリティとファッション、大石は女性の慈善と感受性の関係、梅垣は18世紀の啓蒙思想における女性の位置づけ、吉野は女性小説におけるネイションの概念、山口は女性教育を焦点にして、18世紀の女性と公共圏の関係について究明ををした。 この時代の女性たちは、レズビアンという関係に究極的に示されるように、一見女性だけが押し込められた閉鎖的世界の住人であるようでいて、その実男装によって男性的公共圏と交錯する側面をもっている。そうした女性たちの両義性は慈善、思想、文学、教育といった領域においても顕著である。女性たちは非政治的なふりをして慈善活動に参加し、女性の美徳として社会的に認知された感受性を武器にしながら、地域の政治、さらには奴隷貿易にみられるような国家政治にまで関与していった。18世紀末になると女性作家もネイションの問題を扱うことで、男性的な政治言説とは異次元である虚構において政治的言説を構築していく。男性中心的な啓蒙思想の領域においもて、女性は一方で抑圧されながらも、次第にその社会的意義を付与され、やがてはウルストンクラフトに代表される女性思想家の登場をみた。ウルフストンクラフトが批判した教育における厳然たる女性差別と抑圧は、19世紀になると非国教徒の女性のみならず、国教会の女性たちによっても打ち破られていくことになった。
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