研究概要 |
本年度は研究計画通り「20世紀フォトジャーナリズムにおけることばの機能」を順調に進め,予定より1年早くその成果をまとめることができた。その成果は,このテーマの性質上からも,広く一般に還元することを目的とし,新書版として刊行する。 ○今橋映子著『フォト,リテラシー-報道写真と読む倫理』 (中公新書,2008年5月25目刊行決定) 本書は新書とはいえ,400字詰め原稿用紙換算200枚に及び,巻末には詳細な註と参考文献を付けることで,学術的最新成果を研究者にも知らせるものとなっている。 本書によって,報道写真が,撮り手よりむしろ読み手の紡ぐ「物語」に依存すること,写真が掲載される媒体(雑誌,写真集)の編集方法や権力によって変容させられること,記憶の媒体として,写真から私たちは何を「語るのか」という重大な責任を課せられていることなどを,最新の文学理論やメディア理論を援用して解明し得たと,考えている。
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