本年度は4年継続期間の3年目にあたり、後半課題「近代日本美術批評の成立」に関しての研究に精力的に取り組んだ。 同上の研究は、厖大な資料調査と分析を必要とする作業だが、当初の見込み以上の成果が出ることが明らかになり、現在精力的に執筆中である。 今年度はとりわけ、明治大正期における岩村透の、これまでまったく未調査であった「全執筆資料」を発掘し、同時代思想、美術界の動向、海外美術界との交渉など、さまざまな側面に関しての二次資料の徹底的捜査を行った。 資料踏査は順調な成果を挙げており、これによって近代日本美術批評の成立、その性格、美術界との連関、岩村透独自の思想など、多面的に明らかになってきている。 資料所蔵先の都合などにより、あえて個別論文による公表を控え、単行本によって一挙に成果を公表することを予定している。すでに出版社の企画として公刊されることも決定されている。平成22年(残留1年の研究期間)で、原稿用紙1500枚予定の全体を書き上げる予定である。
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