研究課題
今年度は、両足院に所蔵される書跡・典籍類のうち、第70箱から第100箱までの調査をほぼ終了した。調査方法は、箱ごとの悉皆調査であり、書名・員数・法量・装訂・外題・尾題・版式・行数・訓点・奥書・刊記などの調査項目を所定の調書に記入するものである。第70箱から第73箱までは、江戸時代の版本ではあるが、仏典の史伝部に相当し、中国の高僧の伝記である『高僧伝』や仏教史書である『仏祖統紀』、またわが国の高僧の伝記である『元亨釈書』などが確認された。第74箱から第79箱までは、『周易』『尚書』『毛詩』『礼記』『左氏春秋』のいわゆる五経の版本が中心で、やはり江戸時代の版本が中心ではあるが、まま写本も見い出された。第80箱以降は史書が多く存在するが、第85箱・第86箱の2箱にわたって元時代至元六年(1340)の刊記がある『王海』二百巻・附『辞学指南』四巻、合わせて二百四巻八十冊が納められている。『王海』は、南宋の文学者である王応麟(1223-96)が編纂したものであり、21の部門を設けて古書から故実に関する文章を集めたものである。その元時代の版本が存在することは、貴重なことである。また今年度は、本研究の前身である平成16年度から平成18年度にわたる科学研究費補助金・基盤研究(B)「五山禅宗寺院に伝わる典籍の総合的な調査研究-建仁寺両足院所蔵本を中心に-」の成果報告書を作成し、総目録作成の第一歩とした。
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立命館アート・リサーチセンター紀要「アート・リサーチ」 8号
ページ: 65-87
斯道文庫論集 第42輯
ページ: 231-348