研究課題
リンクタイプとフォーカスタイプのかき混ぜ文について適切な文脈条件を同定し、その中でも特に前置名詞句(被かき混ぜ名詞句)の既出性がオンラインの文理解に与える影響を各種実験で検証した。例えば、Kaiser and Trueswell(2004)はフィンランド語の文読解時間に与える情報構造(旧新語順vs.新旧語順)と統語構造(基本語順vs.かき混ぜ語順)の影響を調べる実験を行い、これら2つの要因が交互作用を示したことを報告しているが、Ferreira and Yoshita(2003)の日本語文産出実験では、語順の選択に対する情報構造と統語構造それぞれの主効果は見られたものの、交互作用は観察されなかった。これら2つの実験における交互作用の有無が、対象言語の違い(フィンランド語vs.日本語)によるものなのか、課題の違い(理解vs.産出)によるものなのかを確かめるために、日本語を用いた文読解実験を行った。その結果、基本語順文よりもかき混ぜ文の読解時間に対してより大きな情報構造の影響が観察された。すなわち、日本語の文理解において情報構造の要因と統語構造の要因が交互作用を示した。このことから、上記2つの先行研究における交互作用の有無の違いは、課題の違いから生じた可能性が高いことが分かった。各部門の研究実施項目は以下のとおりであった。【言語理論部門】 1.先行研究の再調査、2.かき混ぜ文の機能の分析、3.文脈条件の同定【文解析部門】 1.先行研究の再調査、2.文正誤判断課題実験【脳機能計測部門】 1.先行研究の再調査、2.fMRI実験【言語習得部門】 1.先行研究の再調査、2.コーパス調査【全部門共通】 1.研究打ち合わせ、2.公開セミナー、3.研究計画再検討会
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信学技報 107
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http://db.tohoku.ac.jp/whois/detail/c20f69c4fa34a7748d206cd4730370a9.html