本研究課題の目的は、中国語の歴史文法に関する従来の個別的市記述的成果を踏まえつつ、近年目覚しく深化を遂げている現代中国語文法の理論的研究の成果を近代以前の中国語に適用することにより、上古から現代に至るまでの中国語の文法事象の歴史的変容(多様性)と汎時代的普遍性を究明することにある。 現代中国語に存在するさまざまな文法範疇や文法構造の意味的および形式的特質は、そのすべてがそれ以前の中国語に存在したわけではない。それらのうちのあるものは古代中国語の時代から現代まで汎時的に継承されているが、あるものは多様な変容を遂げて現在に至っている。本研究課題は、5名の研究者が、近年の現代中国語の研究を通して得られた各種の文法範疇や文法構造の意味と形式に関する有益な知見を参照しつつ、各時代における様相を詳細に検討し、その成果を共同討議し、それらの作業を通して各時代間の差異とそれを生み出すメカニズムを明らかにしようとするものである。同時に、古今を通じて不易の中国語としての普遍的特質や、汎時代的に有効に機能している文法的および意味的範疇の存在を明らかにし、加えて、それらの範疇化を動機づける関与的なパラメータの究明を目指すものである。
|