本研究の目的は、「自律的学習者の養成」という観点から、「ラーニング・マネージメント・システム(LMS)」で収集される学習履歴データに、学習者自身が主体的にかかわり、自分自身の学習に対する把握や評価を行い、自らが自らを動機づけ、自らの学習をコントロールする「自律的学習者」になることを支援できる仕組みである「eポートフォリオ」を構築し、その効果を検証することである。この目的を達成するため、平成19年度には具体的には以下のこをと行った。 1.広島市立大学で現在稼動しているネットワーク型集中英語学習システム(IETW)のLMSで収集されている多種多様な学習データを精査し、学習者が自らの学習を主体的コントロールする上でどのようなデータを提示してやれば有益であるのかを検討および取捨選択した。 2.取捨選択したデータを、学習者が自身のものしか閲覧できないもの、他の学習者のものも閲覧できるもの、クラス全体として表示されるべきもの、その時点の最新のデータのみを表示すればよいもの、学習期間にわたる履歴として表示すべきもの、累積として表示すべきもの等、データの分類を行った。 3.検討した学習データに学習者が主体的にかかわれるよう、自律的学習をサポートするための「eポートフォリオ」のプロトタイプの構築を行った。その際、画面の色やデザイン、データの配置、データの見せ方(表にするのか、グラフにするのか、数値表示にするのか等)、ユーザーインターフェースの観点を考慮した。 平成20年度においては、平成19年度に構築した「eポートフォリオ」のプロトタイプをIETWに実装し、「CALL英語集中」という授業で試行し、その有効性を検証する予定である。
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