研究目的は、英語教師の成長につながる日本版EPOSTL開発に向けての研究であった。 EPOSTL(European Portfolio for Student Teachers of Languages)は、言語教育にたずさわる教員養成課程履修学生の成長を促すために開発されたリフレクション用教育実践ツールである。この目的は言語教師の専門知識、専門能力、自己評価力の育成など、8項目を主要目的とする。教職課程が始まった段階から、教育実習を経て教職につく段階に至るまでの過程で、指導者の助言に従って、言語教育の履修性に利用されることが期待される。また、教職カリキュラムの設計にたずさわる指導教員には、指導目標の明示と指導内容の特定に役立つ。EPOSTLの日本への文脈化をはかることにより、日本の英語教師教育のための到達目標となる自己評価Can-do項目を含むポートフォリオを開発し、それを普及させることを目的とする。その第1段階として、EPOSTLの項目の翻案を作成する。 まず、研究会でオリジナルの英語版を日本語に翻訳した。第2段階として、193項目を討議の末、100項目にまとめた。日本への文脈化をめざした基準を設け、それに合わない項目を削除した結果である。このように厳選した項目でアンケート質問紙を作成した。 調査方法は、教育実習修了生に質問紙への回答を依頼した。16大学より、178名の回答を得た。この結果、教育実習修了生間において共通性が低いと認識された項目は、多くの教育実習の現場において一般的な活動ではなかったためと推察し削除することとした。新しい質問紙案は74項目となった。今後の課題は、この自己評価Can-do項目を養成課程の目標として開発するのか、あるいは、教員養成機関が柔軟な「参照枠」として活用可能なものとするのかによって、リストの最終的な構成と内容が決まってくることである。
|