本課題最終年に当たり、コミュニケーションの障害要因を可視化し、相互にコメントの書き込み・閲覧が可能なWeb教学プラットホームVideo Corpus Learning Platform(VPC)の構築に注力した。VPCは教学デザイン設計後、プログラム開発を北京大学に委託、2009年7月、仮想マシンVMwarePlayerを用いたVPCβ版を完成した。VPCは会議参加者、教師、管理者がそれぞれ録画コーパスデータの検索、閲覧、コメント入力、ディスカション参与、指導の権限を持ち、会議開催日時、使用言語、テーマ、組織名、参加人数、司会校名のほか、個人の国籍、母語、第二言語履修年数、専門、学年、会議時間など十数項の検索機能を持つ。2009年8-12月にかけ、日本語OS環境下でのVPC運用管理と日本語版マニュアル作成を(株)アイアール・アルトへ委託し、研究代表・北京大学と共同で改良作業を行った。2010年1-2月にかけ、アルト社のサーバーにVPCをインストールし、サンプル会議コーパスをアップロードして操作チェックとアクセス時の問題点を洗い出した。仮想マシンの導入やサーバーの環境調整に時間を取られ、目標より研究成果の公開が遅れたが、点検作業終了後、インターネットを通して公開可能な段階にある。 VPC構築と平行し、遠隔学生会議録画の収集を継続し、個人情報保護・版権処理を行った。本年は発話の書き起こしと分析作業にあたり、特に半自動化を目したアノテーション付与の標準化について試行を重ね、学会で研究発表を行った。H19-20年のミスコミュニケーション分析方法と併せ、多角的視点から異文化遠隔交流の言語・非言語の使用実態を観察でき、交流支援や授業シラバス作成時の参照基準として生かすことができる。
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