研究分担者 |
並木 頼寿 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (80155986)
孫 江 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 准教授 (40329529)
菊池 秀明 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (20257588)
今井 昭夫 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (20203284)
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研究概要 |
本年度の活動は以下のとおりである。 まず,昨年度に続き,中国・台湾・香港・ヴェトナム各地域の文書館・図書館において東アジア宗教交流事情・宗教雑誌の調査を行った。ヴェトナムについては,代表者の武内,分担者の今井が漢喃研究院などの研究機関を訪問し,降筆本と呼ばれる植民地期の宗教文献や現代ヴェトナム宗教事情について調査を行い,新たな知見を得ることができた。降筆本の調査により,植民地下の台湾で広く行われた扶鸞と共通性を持つこと,また,こうした宗教文献が植民地期の民衆心性を読み解く好個の資料であることなどが明らかとなった。中国については,分担者の並木・孫江がそれぞれ研究を進めるとともに,研究協力者の宮田義矢・小武海櫻子は北京図書館・北京市档案館・上海図書館などにおいて,民国期の宗教結社に関する文献の収集につとめ,それらの資料を生かしつつ民国期中国の宗教事情について分析検討を行った。研究協力者の張士陽は,台湾国史館分館において台湾総督府文書を閲覧し,植民地期台湾における宗教事情等について調査を行った。研究協力者の倉田明子は,香港の中文大学図書館,中国の中山大学図書館において,植民地期香港の宗教結社関連史料の収集にあたった。 本年度の活動で特筆すべき点として,中国人民大学副教授曹新宇・山東大学劉平氏を招聘し,「中国民衆宗教運動史研究の現在」と題するミニ・シンポジウムを開催したことがあげられる。シンポジウムにおいては,神奈川大学名誉教授小林一美氏の総括講演のほか,中国の劉・曹両氏による欧米・中国における宗教運動研究の現況報告,倉田・小武海による今日の香港・台湾における同善社に関する調査報告がなされ,活発な討論が交わされた。
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