研究概要 |
1 本年度は,本研究課題に関して,研究の現状を掌握するため,各自が先行研究の調査を行った。同時に,これと並行して,研究の現状についての理解を共有し,また,研究の現状と照合させつつ,各自のアプローチの仕方を検討した。 2 研究代表者桜井は,デーモシオスとコイノス,両語の用例を収集,分析するとともに,市民とメトイコイ(在留外人)とのコイノス領域への関与の仕方についてどのような差異があるか,具体的に明らかにするため,古典史料,碑文史料の分析を行った。研究分担者逸身は,アルカイック期にさかのぼって,古代ギリシア文学に登場する規範意識と公共性概念をテクスト分析によって抽出することに努めた。同じく橋場は,主としてアテナイ民主政の諸制度の生成と発展とを国制史の分野においてあとづけ,民主政の諸制度の背景に隠れている公共性概念を抽出しようと試みた。師尾は,主としてポリス世界における碑文にあらわれた書承文化を分析した。長谷川は,ギリシア古典期に成立した公共性概念が,ヘレニズム世界とローマ世界にどのように継承されていったのか,それがその後の西欧文明にどのような影響を与えていったかを考察することに努めた。 3 5月28日には共通の関心を持つロンドン大学UCL歴史学科のHansvanWees教授および同学科講師AntonioSennis博士と東京大学山上会館ででワークショップを開催し,意見交換と研究レビューを行い,そのための謝金を支出した。 4 また同様に,6月29日には,アテネ大学のLilianKarali-Giannakopoulouk教授を招いてワークショップを開催し,意見交換と研究レビューを行い,そのための謝金を支出した
|