研究課題/領域番号 |
19320116
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
桜井 万里子 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 名誉教授 (90011329)
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研究分担者 |
橋場 弦 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 准教授 (10212135)
師尾 晶子 千葉商科大学, 商経学部, 教授 (10296329)
長谷川 岳男 鎌倉女子大学, 教育学部, 准教授 (20308331)
佐藤 昇 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教 (50548667)
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キーワード | 地中海世界 / ギリシア / 公共圏 / 規範 / 碑文 / ヘレニズム / 法 / 書承記録 |
研究概要 |
1.昨年度までの研究成果を基に、最終的な成果発表のための準備を行った。研究代表者桜井は、文献史料に加え、碑文やパピルスを分析し、古代地中海世界における宗教的側面から、公共性と規範について検討した。研究分担者橋場は、主としてアテナイ民主政の諸制度の生成と発展をあとづけ、民主政の諸制度の背景に隠れている公共性概念を抽出しようと試みた。師尾は、主としてポリス世界における碑文に現れた書承文化を分析した。石碑に名を刻むという行為と市民アイデンティティの関わりについて分析し、さらに奉納行為によって関連づけられるオイコス(家)とポリスとの関係を分析した。長谷川は、「ポリス的世界が衰退した」とも評価される、ヘレニズム、ローマ時代に公共性概念が、どのように継承されていったのか、それがその後の西欧文明にどのような影響を与えていったかを考察した。佐藤は古典期アテナイにおいて、訴訟制度が目的とは異なった形で利用されている実態と、それに対して形成された世論について分析を加えた。 2.2009年3月にはロンドン大学アイリーン・ポリンスカヤ博士を招聘して、ギリシア宗教におけるコイノスに関して講演会、研究会を開き、古代ギリシアにおける公共性概念の柔軟性について理解を深めた。 3.以上の成果は、とりわけ専門分野において国際的にも大きな意義を持つと判断し、邦語ではもちろん、一部は欧文の専門論文、あるいは国際学会での口頭報告の形で発表した。
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