日本列島の北方史における転換点が古代から中世への移行期にあることが、考古学・文献史学の両面から指摘されてきている。それは北日本のみならず、東アジア世界全体で生起した広域的変動として理解すべきものであり、特に、北方社会の発展を契機として大陸と日本列島の「北回り」の交流が確立してゆく過程が注目されている。しかしながら、具体的・実証的な研究は未だ道半ばである。 本研究では、オホーツク文化と擦文文化に代表される古代の北海道の先史文化から、いかなる過程を経て中世アイヌ文化が形成されるのかという問題を研究の軸に、古代から中世への移行期における日本列島の北方地域の社会変動を考古学的に解明することを目的とする。
|