スス・コゲからみた縄文・弥生土器と土師器による調理方法

2008 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 19320128
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 考古学
• 研究機関: 北陸学院大学 (2008); 北陸学院短期大学 (2007)
• 研究代表者: 小林 正史 北陸学院大学, 人間総合学部社会福祉学科, 教授 (50225538)
• 連携研究者: 北野 博司 東北芸術工科大学, 芸術学部, 准教授 (20326755) ; 鐘ヶ江 賢二 鹿児島国際大学, 博物館, 学芸員 (00389595) ; 徳澤 啓一 岡山理科大学, 総合情報学部, 講師 (90388918) ; 若林 邦彦 同志社大学, 歴史資料館, 准教授 (10411076) ; 設楽 博己 駒澤大学, 文学部, 教授 (70206093) ; 久世 建二 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 教授 (80177998) ; 田畑 直彦 山口大学, 埋蔵文化財資料館, 助教 (20284234) ; 菊池 誠一 昭和女子大学, 人間文化学部, 教授 (40327953)
• 研究期間 (年度): 2007 – 2008
• キーワード: 深鍋 / 米蒸し調理 / 炊飯 / 土器使用痕分析 / スス・コゲ / 民族誌 / 調理実験

研究概要

縄文から古代までの調理方法を復元し、土鍋の形・作りの機能的意味を明らかにする、という目的に沿って、ワークショップ形式による土器観察会、伝統的蒸し調理の民族調査(タイと雲南)、調理実験、を組み合わせた研究を行った。成果として、各時代の調理方法が解明されてきたこと、および、ワークショップを通じて土器使用痕分析を行う研究者が増え始めたことがあげられる。前者については、(1)縄文晩期の小型精製深鍋と中・大型素文深鍋の機能の違いの解明、(2)炊飯専用深鍋の確立程度から弥生時代の米食程度の高さを推定、(3)弥生・古墳時代の炊飯方法の復元、(4)古墳前期後半における深鍋の大型化に対応した「球胴鍋の高い浮き置き」から「長胴鍋の低い浮き置き」への変化の解明、(4)古代の竈掛けした長胴鍋と甑による蒸し調理の復元、などがあげられる。

研究成果

• [雑誌論文] 「蒸し調理が導入される背景: 東北タイと北タイの調理民族誌の比較をもとに」 (2009)
  • 著者名/発表者名: 小林正史
  • 雑誌名: 『石川県考古学会会誌』 52 ページ: 65-100
• [雑誌論文] 「ススとコゲからみた東北地方の弥生深鍋の使い方」 (2009)
  • 著者名/発表者名: 小林正史
  • 雑誌名: 『新潟考古』 20 ページ: 3-33
• [雑誌論文] 「縄文深鍋のスス・コゲからみた調理方法: 胴下部コゲの形成過程を中心に」 (2008)
  • 著者名/発表者名: 小林正史・阿部昭典
  • 雑誌名: 『新潟考古』 39 ページ: 1-40
• [雑誌論文] 「東北地方南部における古代の土鍋調理-福島県高木遺跡出土土器の分析から-」 (2008)
  • 著者名/発表者名: 北野博司・三河風子・小此木真理
  • 雑誌名: 『歴史遺産研究』 4 ページ: 1-26
• [雑誌論文] 「スス・コゲからみた炊飯用鍋とオカズ用鍋の識別: カリンガ土器の使用痕分析」 (2007)
  • 著者名/発表者名: 小林正史
  • 雑誌名: 『国立歴史民俗博物館研究報告』 137 ページ: 267-304
  • 査読あり
• [学会発表] 「スス・コゲからみた北部九州の弥生後期~古墳初頭の深鍋による調理方法」 (2008)
  • 著者名/発表者名: 小林正史
  • 学会等名: 『日本考古学協会第74回総会』
  • 発表場所: 東海大学
  • 年月日: 2008
• [学会発表] 「東北タイ・北タイの米蒸し調理: モチ米を常食とする背景とその調理特性」 (2008)
  • 著者名/発表者名: 小林正史
  • 学会等名: 『日本文化人類学会第42回研究大会研究発表要旨』
  • 発表場所: 京都大学
  • 年月日: 2008
• [学会発表] 「縄文深鍋のスス・コゲからみた調理方法」 (2007)
  • 著者名/発表者名: 小林正史・滝沢規朗・野田豊文・坂野井絵里・佐藤雅一
  • 学会等名: 『日本考古学協会第73回総会研究発表要旨』
  • 発表場所: 明治大学
  • 年月日: 2007
• [学会発表] 「関東地方の弥生中・後期深鍋の作り分けと使い分け」 (2007)
  • 著者名/発表者名: 設楽博己・渡辺修一・小林正史
  • 学会等名: 『日本考古学協会第73回総会研究発表要旨』
  • 発表場所: 明治大学
  • 年月日: 2007
• [学会発表] 「スス・コゲからみた弥生深鍋による調理方法-側面加熱痕を中心に-」 (2007)
  • 著者名/発表者名: 徳澤啓一・若林邦彦・小林正史
  • 学会等名: 『日本考古学協会第73回総会研究発表要旨』
  • 発表場所: 明治大学
  • 年月日: 2007
• [図書] 「東北地方の弥生深鍋のつくり分けと使い分け」『新潟県考古学会20周年記念論集』 (2009)
  • 著者名/発表者名: 小林正史
  • 総ページ数: 1-30
• [図書] 「弥生土器の技術-深鍋のつくり分けと使い分け-」『弥生文化の研究』6巻 (2009)
  • 著者名/発表者名: 小林正史
  • 総ページ数: 15-30
  • 出版者: 同成社
• [図書] 「古墳時代後期から古代の米蒸し調理」『芹沢長介先生追悼 考古・民族・歴史学論集』 (2008)
  • 著者名/発表者名: 小林正史
  • 総ページ数: 449-472
  • 出版者: 六一書房
• [図書] 「縄文土器のスス・コゲ」『縄文土器総覧』 (2008)
  • 著者名/発表者名: 小林正史
  • 総ページ数: 1015-1020
  • 出版者: アムプロモーション
• [図書] 「スス・コゲからみた土器使用法」『縄文時代の考古学』7巻 (2008)
  • 著者名/発表者名: 小林正史
  • 総ページ数: 143-156
  • 出版者: 同成社
• [図書] 「東北・北海道における古代の土器焼成と土ナベ調理」『古代東北・北海道におけるモノ・ヒト・文化交流の研究』(平成15~18年度科学研究費補助金(基盤B)研究成果報告書 研究代表者:辻秀人) (2008)
  • 著者名/発表者名: 北野博司・三河風子
• [図書] 「東北地方の古代の土ナベに関する基礎的研究-6・7世紀の福島県中通り地域を中心として」『吾々の考古学』 (2008)
  • 著者名/発表者名: 北野博司
  • 総ページ数: 397-415
  • 出版者: 和田晴吾先生還暦記念論集刊行会