研究課題/領域番号 |
19320129
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研究機関 | 財団法人古代オリエント博物館 |
研究代表者 |
石田 恵子 (財)古代オリエント博物館, 研究部, 研究員 (30132757)
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研究分担者 |
岩崎 卓也 財団法人古代オリエント博物館, 館長 (30015383)
脇田 重雄 財団法人古代オリエント博物館, 研究部, 研究員 (00175069)
津村 眞輝子 財団法人古代オリエント博物館, 研究部, 研究員 (60238128)
津本 英利 財団法人古代オリエント博物館, 研究部, 研究員 (40553045)
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キーワード | 考古学 / 北シリア / 祭祀 / 生活文化 |
研究概要 |
テル・ルメイラは北シリアのユーフラテス河東岸に位置する遺跡で、青銅器時代から初期鉄器時代にかけて営まれた高さ13メートルの遺跡である。1975年から1980年にかけて古代オリエント博物館が発掘を行った。今回の補助金の主な使途は遺物情報をすべてコンピュータ管理に移行させること。遺物実測を完成させ、取捨選択してコンピュータ・トレースを行い、特に土器編年を確立すること。遺構の変遷と祭祀関係遺物の考察を進めることであった。 テル・ルメイラの発掘成果の意義 1ユーフラテス河中流域の中期青銅器時代から初期鉄器時代(XI層~O層)の詳細な遺物変遷を明らかにした。大きな断絶がなく続くルメイラの土器編年の確立は重要な意味をもつ。特にユーフラテス河中流域には鉄器時代の遺跡はなく、貴重な資料を提供することができた意義は大きい。 2遺構の推移から遺跡の周壁が確認できる時期とない時期とがあり、政治環境の反映と推測される。一戸の住居構造の変遷や街区の変遷も伺え、住人たちの永続的な居住が推測される。近隣の遺跡の発掘報告書が出そろえば、その比較においてルメイラ遺跡の意義がより明らかになることだろう。 3住居毎の神や祖霊を祀る場であったと推測される家形模型の二階建ての例がIX層からV層にわたって複数例がテル・ルメイラから出土している。今回ルメイラ遺跡から出土した家形模型の破片も含めた全点数が明らかとなり、下層出土の家模型ほど写実的に作られた傾向が伺える。祭祀に関わる遺物としては、倒立旗差し台、装飾器台、石製奉献台、香炉などもある。これら相互の関連はまだ確認の途上である。女神土偶を作るための型枠が出土したが、これで作られた女神像はルメイラの出土品になく、女神土偶のあり方を再考すべきことも今後の課題として残された。
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