• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2010 年度 実績報告書

都市空間における女性の商品化-米軍基地周辺遊興街の社会・歴史地理-

研究課題

研究課題/領域番号 19320133
研究機関奈良女子大学

研究代表者

吉田 容子  奈良女子大学, 文学部, 准教授 (70265198)

研究分担者 中島 弘二  金沢大学, 人間科学系, 准教授 (90217703)
影山 穂波  椙山女学園大学, 国際コミュニケーション学部, 准教授 (00302993)
加藤 政洋  立命館大学, 文学部, 准教授 (30330484)
神田 孝治  和歌山大学, 観光学部, 准教授 (90382019)
キーワード都市空間 / 米軍基地 / 遊興街 / ジェンダー関係
研究概要

戦後,沖縄県内や本土につくられた米軍基地の周辺に現れた遊興街を対象に,女性の性が消費される空間がどのようにつくりだされたか社会・歴史地理的な視点から明らかにしつつ,基地や売春をめぐる住民運動の展開にも注目した。取組みの具体的な観点と,その成果は以下のとおり。
1)基地周辺遊興街の成立過程にみるジェンダー等の権力関係⇒基地の周辺に歓楽街がつくられるに至った社会・政治的背景や遊興街形成のプロセス,またそこで自らの性を売らざるをえなかった女性たちと兵士,地域住民,行政との関係性を,当時の地方紙から情報収集し,明らかにした。2)軍事基地・演習場をめぐる地域住民の反対運動⇒軍事暴力と地域住民の生活世界の関係を明らかにすることを通じて,軍事基地・演習場がもたらす生活世界の軍事化の様態を明らかにした。また,地域住民が生活世界の軍事化から離脱しうる事例(活動)も見つけた。3)ジェンダー関係が投影された都市空間の分析⇒売春防止法制定前に基地周辺の遊興街において認められた売買春の実態や,それへの住民や行政の対応について,当時の新聞や行政記録から整理し,都市空間内で生じた諸力のせめぎ合いを解明した。4)近世・近代の遊廓に起因する赤線・青線地区(集団的売春街)成立の歴史地理⇒米軍統治下の沖縄県内の基地周辺につくられた遊興街の分析から,軍政府・民政府の施策ないし方針の特徴を明らかにし,本土とは異なる空間の生産過程があったことを突きとめた。5)基地周辺遊興空間の消費と観光の関係性⇒沖縄のもつイメージの変容と観光の関係性について,米軍駐留の前と後との変化に焦点をあてて明らかにした。
女性の性を消費する空間形成のプロセスや,そこに反映された諸力を明らかにするという研究の目的は,ほぼ達成されたと言える。地理学で従来タブー視されてきた性に関わる空間の解明に挑んだことで,日本でのフェミニスト地理学の発展に意義ある成果を残せたものと確信する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 沖縄における売春防止法の制定とその影響2011

    • 著者名/発表者名
      影山穂波
    • 雑誌名

      表現と文化 椙山女学園大学国際コミュニケーション学部研究論集

      巻: 8 ページ: 19-32

  • [雑誌論文] 米軍施設と周辺歓楽街をめぐる地域社会の対応-「奈良RRセンター」の場合-2010

    • 著者名/発表者名
      吉田容子
    • 雑誌名

      地理科学

      巻: 65 ページ: 245-265

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 沖縄における自然保護と基地反対運動2010

    • 著者名/発表者名
      中島弘二
    • 雑誌名

      地理科学

      巻: 65 ページ: 231-241

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 沖縄イメージの変容と観光の関係性-米軍統治時代から本土復帰直後を中心として-2010

    • 著者名/発表者名
      神田孝治
    • 雑誌名

      観光学

      巻: 4 ページ: 23-36

    • 査読あり
  • [図書] East Asia : a critical geography perspective2010

    • 著者名/発表者名
      Wing-Shing TANG
    • 総ページ数
      161-175
    • 出版者
      Kokon Shoin (Tokyo)
  • [備考]

    • URL

      http://www.nara-wu.ac.jp/bungaku/sges/database/yoshida_01.html

URL: 

公開日: 2012-07-19  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi