いくつかの実働研究チームを立ち上げ、昨年度の中間施設の居住状況調査に加え、中間施設、とくに無料低額宿泊所の運営に対する貧困ビジネス論を、社会ビジネスと位置づける調査検討を進めた。その結果として、NPOホームレス全国支援ネットワークと共同した、無料低額宿泊所のありかた検討チームを結成し、2010年に検討チーム案を提起した。その結果は年度を越えたが、本チームが編集に深く関わっている『ホームレスと社会』誌に掲載している。また速報として、レポートをシリーズ的に刊行した。 同時に地域に定着する脱ホームレスの居住状況に関しては、ハウジングイニシアティブ研究会を設立し、東京における脱野宿者の地域定着移行支援事業の支援団体調査および、大阪市西成区においては、居住サポート研究会を立ち上げて、地域でのアパート移行の実態を、不動産、家主からの聞き取り調査をおこなった。また新たにホームレス支援の範疇と重合してきた刑余者支援においても、よりそいネットおおさかと共同で、刑余者にかかわる相談・支援事業の受け入れに関する調査をおこない、いずれも、調査報告書を中間報告の段階であるが、上辞している。 また女性ホームレス支援においては、富山市において、シンポジウムを開き、地方都市のホームレス支援においても、徳島市で、シンポジウムをおこなって、いずれのレポートシリーズとして刊行している。こうした多くの動きを、都市研究プラザを拠点とした研究者、支援者ネットワークの構築に資するバックアップ事業もおこなってきた。それはNPOのホームレス支援全国ネットワークによるさまざまな研修や研究会の企画であり、その成果は、雑誌、『ホームレスと社会』への寄稿となって結実している。 また海外の交流という観点で、香港と韓国のホームレス支援の研究の比較を進めており、ソウルでは国際シンポを開催し、活動に関しては両地域いずれも英語においてペーパーを刊行し、本年度にまたがるが、英語雑誌において、特集を組むことになった。
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