研究課題/領域番号 |
19320137
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
島村 恭則 関西学院大学, 社会学部, 教授 (10311135)
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研究分担者 |
岡田 浩樹 神戸大学, 大学院・国際文化学研究科, 教授 (90299058)
鈴木 文子 佛教大学, 文学部, 教授 (40252887)
政岡 伸洋 東北学院大学, 文学部, 教授 (60352085)
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キーワード | 少数者研究 / 朝鮮半島系住民 / 地方地域社会 / 生活世界の多声性 / ネットワーク / 引揚者 / 日常的実践 / 民族 |
研究概要 |
2年度目にあたる本年度は、具体的なフィールドデータの収集に精力を傾けることを第一としつつ、2回の共同研究会によって論点を着実に集約してゆく作業を行なった。具体的には、共同調査を併設した共同研究会を、6月に広島大学・広島市内(南観音地区)において、2月に神戸大学・神戸市内(長田区)において、それぞれ実施した。また、研究分担者、連携研究者による個別調査(いずれも朝鮮半島系住民ネットワークと生活実践に関する当初研究計画に則った調査項目によるもの)を、小樽市、盛岡市、仙台市、東京都北区・世田谷区、横浜市中区、岐阜市、彦根市、堺市、神戸市、姫路市、高松市、松山市、福岡市、熊本市、宮崎市、鹿児島市等において実施した。 これらの調査により、従来の研究の多くに見られた「在日コリアンの民族文化/民族的アイデンティティについての分析枠組み」には必ずしも収まらない生活世界の多声性、ネットワーク形成のダイナミズムについて、豊富な実証的データを収集することができた(その内容は、研究計画調書記載の仮説的予測にほぼ沿うかたちのものであった)。 加えて、本年度の調査では、朝鮮半島系住民の生活世界に隣接した位置に日本人戦後引揚者の生活世界が存在することを各地において見出すことができた。これは、従来の朝鮮半島系住民研究がまったく取り上げてこなかった主題であり、本調査は新たな問題系の発見を行なったことになる。 来年度は、本年度の成果の延長線上でさらに事例の収集・分析を進めるとともに、新たに引揚者の生活世界との関係性の分析、比較検討も行ないつつ、新たな朝鮮半島系住民研究のパラダイム提示のための討議を重ねる予定である。
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